SSブログ

映画「PLASTIC CITY」 [映画やドラマのこと]

磐田市に住む外国人の70%以上はブラジル人です。

市の広報にはブラジルの国語であるポルトガル語もありますし、

ゴミの収集袋をはじめとして、市内のいろいろなところでふつうにポルトガル語を見かけます。

わたしも最近では日系ブラジル人と接する機会がかなり多くなりました。

彼らはほんとにもれなく気のいいひとたちです。

 

しかし、異文化の国で暮らす悩みをたびたび耳にします。、

不景気で仕事がないけど、チケットが高くてブラジルに帰ることもできない。

日本語は少しは話せるが、読み書きができないので、新しい仕事につくのも難しい。

日本の習慣になかなか慣れないので、誤解されることがある。

問題はとてもとても深刻です。

 

それでもなお、彼らはいつも笑顔を絶やさず、底抜けに明るく、小さなことにも喜びを見つけ、

たくましく今日一日を生きています。

 

PLASTIC-CITY 2.jpg

 

「PLASTIC CITY」は、

ブラジルでもとくに移民の多い街サンパウロが舞台というので非常に興味を持ったわけですが、

もうひとつの理由は監督です。

ユー・リクワイ監督はもともとはカメラマンで、

ジャ・ジャンクー監督の「世界」「長江哀歌」「四川のうた」ウォン・カーウァ監督の「花様年華」などで

撮影監督をつとめています。

 

というわけで、期待に胸ふくらまして見た映画なのです。

出だしからしてかっこよくて、これからいったい何が始まるのかしらというワクワク感が高まります。

カメラマン出身の監督だけあって、これどうやって撮ってるんだろう、どういう処理をしてるんだろうと

興味のつきないすばらしい映像の連続です。

わざと荒い感じに仕上げ、色も昔のカラー印刷の絵葉書みたいな色調にして

サンパウロの熱気や雑多な雰囲気を出したり、

アマゾンのシーンでは延々とつづく自然の緑色に吸い込まれそうです。

効果音みたいな音楽が映像にぴったりだし、タトゥーのデザインNICEだわー。

なによりアンソニー・ウォンが オダギリジョーが キャ~素敵です!

PLASTIC CITY 1.jpg

 

でも、わたしは途中で うとっしてしまったのです。

前半は無駄なくスピーディーな展開だったのに、映像はとてもすばらしいのに。

後半、ワクワクが途切れてしまったのです。

わたしの脳みそが足りないのでしょうか。

台湾でもおなじみの「組織的にコピー商品をつくり闇で販売する」というリアルななりわいを描きながら、

夢なのか現実なのかわからなくなるようなシーンがはさみこまれていて混乱します。

決闘場面がアニメやゲームのなかの一場面みたいだったり、

とくにラストでアマゾンに舞台を移してからの展開もあまりに唐突なかんじで。

 

主役の二人の俳優がよかっただけにもったいないです。

 

アンソニー・ウォンは香港出身の俳優さんで、

「インファナルアフェア」や最近では「エグザイル絆」「イニシャルD」などに出演しています。

脇役で出てもすごい存在感があります。

まだ40代なのに、この映画では裏社会の大物を渋く演じていました。

 

オダギリジョーは中国語の(たぶんポルトガル語も)発音が下手で気になりましたが、それも最初だけ。

無国籍な雰囲気をただよわせ、移民の街でしたたかに生きる若者になりきっていました。

「悲夢」では彼がやらなくてもいいような役で肩透かしをくらいましたが、キリン役は非常に魅力的でした。

そのほか中国や台湾やブラジルの俳優さんが、脇役でもみんな印象に残りました。

 

あまりに期待が大きかったので、残念な展開でしたが、

私は「I come with the rain」よりこっちのほうがずっと好き。

次作が楽しみです。

 

 


nice!(1)  コメント(4) 

nice! 1

コメント 4

カダン

こんばんは。

この映画、あまり酷評されるので観に行きましたが、好きな作品でした。
色彩がまず気に入りました。
主役の二人も良かった。
でも監督は大いに反省してもらいたい!
作品の良し悪しはまず役者に風当たりが来ますからね。
でも、オダギリさんは色気のあるいい俳優ですね。
これに懲りずがんばってほしいと思います。
by カダン (2009-07-20 21:40) 

cinnamon-cardamon

カダンさん

コメントありがとうございました。
同感です。でも監督としてやりたいことがあまりにもりだくさんで、なにを言いたいのかがぼけちゃったんでしょうね。
by cinnamon-cardamon (2009-07-21 08:47) 

コリンママ

私は小中学生時代をサンパウロで過ごしました。
この映画、気になっていたのですが
酷評も多いので、悩んでおりました~。
それでも第二の故郷サンパウロの様子が見たい気持ちでいっぱいです。
日系ブラジル人のみなさんも同じ気持ちでこの映画を見ているかもしれません。
でも、日本の映画は料金が高いから・・・見れずにいるかも・・・。
by コリンママ (2009-07-25 13:36) 

cinnamon-cardamon

コリンママさん  貴重な経験をされましたね。
映画はサンパウロのひとびとの描き方が物足りないなとおもいました。

今日は遠路浅羽までいらしてくださってありがとうございました。お会いできなくて残念!
by cinnamon-cardamon (2009-07-26 16:01) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

マスキングの恐怖闇のコピー屋さん ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。